アメリカ会社員のビジネス英語と生活 blog

アメリカの会社、ビジネス英語とマインドフルネスや心身の健康について書いています。

外資系キャリアの出世術:アメリカのオフィスで働くということ

今日はアメリカのオフィスで働くということについて、心構えやポリティクス、上司同僚との関係などを書きたいと思います。

まず、もしアメリカでのオフィス文化に興味がありましたら、「外資系きゃりかの出世術」 Cynthia Shapiro著をチェックされることをお勧めします。この本は2005年の本でちょっと古いのではと思うかもしれませんが、内容は今も的確。この本はアメリカオフィスで働く上でバイブルと言っていいほど、実態が非常によくまとめられています。

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 アメリカのオフィスで働くというと、

  • 人間関係(同僚と上司)も服装もカジュアルでフレンドリー
  • 自由に意見を述べられる、仕事を任される(ハンズオン)
  • 有休を2-3週間続けてどれる
  • OnとOffがくっきり分かれていて、5時には仕事終了
  • 給料が上がりやすい

などといった印象があり、日本で働くよりやりがいがあり楽しいと思うかもしれません。それは正しいのですが、それを享受できるのは、周囲にそれなりに認められ、好かれ、信頼されてからの話ということになります。

 

  • 人間関係(同僚と上司)も服装もカジュアルでフレンドリー

見かけ(服装、態度といった外見的プレゼンテーション)がまさにものを言います。周りがカジュアルな服装でジーンズもOKだったりすると油断してしまうのですが、そこは気を付けましょう。不自然にフォーマルだったりドレスアップすることなく、自然に清潔で洗練された感じの装いをすることで周囲からの印象と評価が変わります。第一印象は外見的なものと人間味のコンビネーションですが、最初は外見の印象の影響が大です。第一印象でジャッジされ、一旦ジャッジされるとそれを変えることは大変な時間と労力を要します。

人間関係、とくに上司との関係は人生を決めるといっていいほど大事です。ファーストネームで呼ぶ文化であるため、思わす心を許してしまったり油断してしまわないように気を付けましょう。カジュアルに見えても軍隊にいるという風に私は思っています。戦場で司令官の言うことは絶対であるように、上司は仕事中の”神”です。また、戦場にあっては自分の責任を果たすことが部隊の安全にかかわる超重要なことであるように、会社においても自分の職務をしっかり果たすことが上司の生命にかかわることになります。こういった絶対的な上下関係、服従関係にいることを忘れないようにすることで上司とのコミュニケーションを適切に保ちましょう。

  • 自由に意見を述べられる、仕事を任される(ハンズオン)

意見を言うというのはトリッキーです。上司に求められたときはもちろんOKですが、建設的に、ネガティブを避け、感情を入れずに述べましょう。いつでも”上司のためになるように”話をすることを心がけましょう。仕事は自分の成果のためであり、かつ上司の成功のためです。部下は上司の成功のために仕事をすると理解することが大事です。

意見を持つこと、そしていつでも自分のプロジェクトを説明できるこは大事です。ものを言わなすぎると仕事をちゃんとしているのか疑問に思われてしまいます。ですので言うこと、伝えることは大切ですが、”上司との接触は上司のため”ということを覚えておくと何を言い、どう伝えるのかの良いガイダンスになると思います。

上記の本にこんなことが書かれています:上司に意見を求められるというのは信頼の良いサインですが、安心してはいけません。上司はあなたを信頼していいが、あなたは上司を信頼してはいけません。まさにその通り!覚えておきましょう。

  • 有休を2-3週間続けてどれる、OnとOffがくっきり分かれていて、5時には仕事終了

アメリカは転職すると初めの1-3年は有休5日だったりします。少ないですよね?ビックリでした。私も日本にいた時はアメリカ人は長いVacationをとるし、5時に帰るし、良いなぁと思っていました。しかし、祝日の数は日本の半分以下で勤続10年以下の有休は少ないです。キャリーオーバーはないか5日までです。だから有休を消化するんですね。勤続5年のアメリカ人が有休を全部消化したところで日本人が有休0日消化と同等という感じです。

特にマネージャー以上の場合ですが、有休中も週末もメールをチェックしています。日曜日の夕方からたくさんメールが行きかいます。月曜朝にメールがたまっていないようにしています。確かにOnとOffは日本より区切りがきれいです。でもアメリカ人はどこにいてもオンラインで、遅延がないように常に仕事のことを考えています。

 

  • 給料が上がりやすい

これは会社の業績次第ですし、上司の評価次第。上司に信頼された場合、とんとん拍子に昇進し、どんどん上がります。上司に普通の人と評価されれば昇進も昇給もありません(1%とか?)。とどまるか転職するかを考えなくてはなりません。

上司に信頼されるというのは、上司にとってクリティカルな人材であるかどうかです。10の仕事を10完結する人材はいくらでも市場に転がっていますが、上司がこの人こそ、戦場にあっても私の命を救うというように信頼され、頼られる人材にリプレイスメントは滅多にありません。そういう人材が昇進していきます。成果も大事ですがココロが人選の決め手ですね。

アメリカはレイオフを普通に行いますので、長期昇進なしの場合は将来を考えて転職や異動もいいかもしれません。自分が上司のココロを掴んで離さない人間として選ばれなかった場合、それが良い方に激変する可能性は低いかもしれません。

ただしここで一つ加えたいことがあります。周囲の印象があまりぱっとしない状況にいても、ふるまいを変え、改善させれば周囲の見る目はやがて変わります。結局のところ、誰しも自分の成功に結び付く仲間と仕事をしたいです。この周囲の評価の好転は日本での場合より早いと思います。上司の見る目もきっと変わるでしょう。ただし、上司は部下を2つのカテゴリーで見ています。自分を守る人材か、仕事をこなす人材か。この2つのカテゴリーの間にベールが存在し、昇進というのは単純ではありません。

 

最後に:

広い視野とコミュニケーション網をもち、優先順位や責任者の変化に敏感である必要があります。これは日本も同じですね。ポリティクスは社内でうまく生き抜くための最優先事項です。いつもポジティブに、好印象を与え、思慮深く同僚と協力し、上司の成功を喜び、会社の応援団のようにふるまう。これがアメリカで大切なことです。アメリカでは転職に最低3人の推薦者が必要です。いったん会社員をはじめたら、自分の人生は人の評価に決められてしまいます。転職も口コミです。少しでも参考になれば幸いです。