アメリカ会社員のビジネス英語と生活 blog

アメリカの会社、ビジネス英語とマインドフルネスや心身の健康について書いています。

ハイコンテキストなカルチャー(日本vsグローバル)

先日勝間和代さんのYouTubeでハイコンテキストな日本の文化についてのお話があり、興味深かったのでそれについて、私のアメリカでの仕事経験を踏まえて、考えてみたいと思いました。

 

youtu.be

日本は、世界でもまれにみる均一文化と均一人種な社会で、共通した”常識”が通用する世界と理解されています。ここ10年くらいでネットやYouTubeなどを通して海外の知識や価値観へのアクセスが拡大したとは言え、人々の均一性は高いと思います。悪いことでは決してありません。むしろ強みと思います。ですので日本人として、日本で生活するのは大変快適です。興味のあるものに囲まれていますし、好きな味がそここで手に入ります。学校や仕事での会話も相手の理解力と想像力を前提にしてコミュニケーションすることができます。これがハイコンテキストという状態。

 

アメリカで働くときはその、相手の”想像力”に期待した会話は危険かもしれません。アメリカ企業では”相手の理解”を前提としたコミュニケーションが無理なんです…。2つの点から説明したいと思います。

  • リモートワーク(テレワーク)

日本と違ってリモートワークがCOVIDの前から普通です。私もですが、ほとんどの同僚が欧州かアメリカの別の州です。一度も会ったことがありません。企業の買収や他企業とのコラボも多く、そういった他企業(3rd party)の社員とのコミュニケーションも日常的です。そうすると”同じ会社だからこれはわかるだろう”という前提が成り立ちません。他企業であっても”同じ業界だからわかるだろう”という前提も危険です。これが頭ではわかっていても日本人としてハイコンテキストで生きてきた私にとってはそれをいちいち”意識”しないといけないという点で頭がちょっと疲れますLOL

アメリカやヨーロッパも地元のコンテキストというのはもちろんあります。が、勝間さんのおっしゃるとおり、とにかく移民が多く、”常識”というものの信頼性は日本のように高くありません。また、仕事においては、アメリカ、欧州、オーストラリアも企業がリモートワークにオープンなのでかれらは外国人とのコミュニケーション(ローコンテキスト)に慣れています。日本ではまだまだリモートワークが認められず、外国からのリモートワークはもっての他という状態です。私は日本のリクルーターを介してアメリカからのリモートの案件を探していますがどのエージェントからも”批評にレアです”という返事のみです。そういうことも手伝って、日本のハイコンテキスト文化は守られているんだと思います。

ローコンテキストに対応するには、相手の理解を期待/前提としたコミュニケーションでは危険ということを理解し、一つ一つ言葉にして説明することが大切です。こんなこと当たり前だろうと思うことでも言葉にして説明します。テレカンの際には議事録を書きながら話を進めると、一つ一つメンバーの理解を確認できるともに議事録が仕上がるということで効率的かつ効果的と思います。こんな私も、もう10年もアメリカで働いますが、毎回トライ&エラーで日々改善していこう、という感じです。

  • オフィスのレイアウトの違い(島型vsキューブ)

これも勝間さんおおっしゃることでなるほどと思いました(笑)。机の配置が島型なため、顔がみえるし、朝礼があったりして、みんなの顔が見え、何をしているのかが見え、会話もしやすいレイアウトですね。上司が全員を見晴らすという設計は興味深いです。アメリカにはそういう環境はありません。上司は個室にいますし、各自スタッフはキューブにいるか最近はオープンスペースのオフィス内で散らばっているという感じです。確かにこの環境ですと”アウン”が通用するようになりますね。効率麺でいいことだと思います。アメリカ企業もこれを知ったら取り入れたいと考えるかもしれません。

私は日本にいた時と現在のアメリカと、同じ業界で同じような仕事をしています。大きな違いは、日本にいた時は”部署”と”上司”に守られていた感じがします。プロジェクトも部署と部署で仕事をしているという感じがありました。アメリカではそれを感じません。アメリカでは個人です。同じ部署の人とコミュニケーションをとって情報共有し、上司との必要な情報交換と必要なエスカレーションが個人の責任という感じがします。たしかにキューブにいた時もオープンスペースになった時も同じ部署のみんなが何をしているのか全く分かりませんでした。各自の責任でみんなとの”おしゃべり”を絶やさない努力が必要です。これは日本にも当てはまると思いますが、日本よりも同僚との距離があるという感じです。あと、前章で書いたとおり、別の州や別の国の人が行っても同じ結果が出るようにするために業務手順書の徹底ぶりが凄いです。文書化された手順書やポリシーのようなものがバイブルになっています。

 

日本のハイコンテキストな文化は便利で、日本をとても整った快適な国にしていますし、日本企業の質の強さと効率の高さを可能にしていると思います。素晴らしいことです。ただこれは国内に限られたことですので、グローバルでコミュニケーションをする時にはちょっと意識して、ローコンテキストとのスイッチをフレキシブルにOn/Offできるようにしておくと仕事がしやすくなるかもしれません。