アメリカ会社員のビジネス英語と生活 blog

アメリカの会社、ビジネス英語とマインドフルネスや心身の健康について書いています。

アメリカでの会社での生き方(昇進、転職)

数日前に”外資系キャリアの出世術:アメリカのオフィスで働くということ”というタイトルでアメリカでの上司との付き合い方や昇進について書きましたが、今日はそこに下記の三項目について付け足したいと思います。

  • 昇進
  • 周りに認められる
  • 転職

 

achestnut.hatenablog.com

 

  • 昇進

アメリカは日本よりも昇進しやすいというのは当たっているともいます。私は医薬品と医療機器の業界にしかいたことがないので、その業界での例えでお話します。日本ではタイトルなしのスタッフ(スペシャリスト)、マネージャー、シニアマネージャー、ディレクター、シニアディレクターというように、一旦マネージャーにならないとタイトルがないという状況でした。こちらアメリカでは、例えばエンジニアI、II、II、IV、そしてマネージャー等となっていきます。また、専門家としてのルートとマネジメントとしてのルートがあって、専門家のルートを選んでも、プリンシプルエンジニアなど、マネジメントの階級の中に入らなくても給与的にはマネジメントと同等に上がっていく仕組みが”明確”にあります。ということで、アメリカでは若いうちから等級の昇進があるのでより昇進の機会があるといえます。この仕組みは特に20-30代の若い人たちに昇進の機会を与え、やる気を高める良い方法だと思います。

アメリカではマネジメントがよりスタッフに任せる(Hands-on)な傾向があるのでスペシャリストIVともなると基本的に放置されているという感じです。マネジメントはマネジメント同士の付き合いで忙しいです。スタッフに求められていることは日常のことをうまく回すとともに、リスクになるかもしれないこと進捗を上司にシェアし、指示あらばそれを遂行するという感じです。

一旦マネージャーになれば、それは上司に信頼されたということなので、その先の昇進もとんとん拍子だったりします。マネージャーになればマネジメント同士のつながりもたくさんできますし、その後はその世界の中でうまく立ち回っていくようになります。しかし組織が変わる、上司が代わる、会社の方向性が変わるとうことがあると状況は変化します。スペシャリストの域や専門家のルートの人たちはポリティカルな変動の影響は低いです。結局、毎日の業務をする人はいつも変わらず必要なんです。

 

  • 周りに認められる

アメリカ社会は案外人間臭いです。出会ったばかりの時の波長の合い具合で決まります。第一印象はクリティカルです。だれしもリズムよく、気持ちよく毎日仕事できる人と一緒にいたいわけです。これには人間としての味と、もちろん仕事上信頼できる、ということの両方が大切です。これを第一印象で悟ってもらえるということは、やはり優秀でこそです。

日本であるような下積みは不要です。ある意味スペシャリストの時が下積みかもしれませんが、前述のようにハンズオンです。スペシャリストの時点で優秀な人とその他普通の人との選別は出来がっています。なのでいい方に選別された人にはより重要(high visibility)な案件が任され、成長の機会によりおおく恵まれ、最短の昇進ルートにのることになります。長くこつこつ丁寧に仕事をしてきてその積み重ねで昇進するという構造にはなっていません。瞬時に悟られる優秀さがものを言います。

 

  • 転職

アメリカでの転職は日本での場合と比べてエネルギーを要します(個人的な感想…)。日本はエージェントのサポートが親身です。求人票なんていうのがあって給与レンジや有休に数などまで書かれています。エージェントが交渉の仲介になってくれます。アメリカではJob Descriptionのみで、どの会社も同じようなことを書いているので、なんだかしっくりきません。多くの場合はエージェントと電話をしなければ社名すら明かされません。そして日本のエージェントと違ってアメリカのエージェントは詳細の情報を持っていないことが多々あります。結局採用先のマネージャーと話して情報収集しますが、その段階では滅多なことは聞けませんよね?それよりもっと知りたいとおもったら、面接に入り込むことになるんです。その段階になると推薦者3名を求められます。推薦者は例えば以前の同僚や上司ですでに他社に移っている人などです。面接は丸一日です。6-8人くらいと、各1時間面接があります。その部署と関連部署のマネジメントとスタッフメンバ-です。丸一日、ランチも面接で第一印象を良く思ってもらい、テンション高く自分を売り、様々なしんどい質問にも優秀に答えるというのはかなりの重労働。私は日本の転職のほうがずっと好きです(笑)。

この過程で”いいね”と思ってもらえたならうまくいく可能性は高いでしょう。厳しい選別ですが、入ってアレレ?とお互いに残念になるよりいいかもしれません。経験や特定のスキルは大事ですが、この過程で人をじっくり見ています。経験が浅くてもこの人ならみんなと協力して回せると思えば採用しますし、経験が高くても波長が合ってないかもと思えば採用しません。(アメリカのJob Descriptionには事細かく必要経験が書かれていて、これを満たす人ってスーパーマンではないかと思ってしまうほどですが、相手は経験値よりも新しいことを新しいメンバーとすんなり回していける人間性をみていますし、Job Descriptionに圧倒される必要はありません。)

面接で脈ありと思われた場合、彼らは推薦者に電話をかけて話をします。目的は本人の身元確認(今の勤め先と職位が正しいこと)と、一緒に働いてみての感想、履歴書に書かれた経験内容が正しいかの確認です。推薦者は自分で選びます。推薦者には自分の受けようとしているポジションをわかってもらい、自分の職務経験をいくつか教えておいてあげるとかれらも対応しやすいです。こんなこともあってアメリカで生き抜くには人間関係が肝ということになります。

給与や有休の交渉はそのあととなります。前述のとおり有休は5日です。私の友人の話では有休日数は交渉次第です。20日とはなかなかいかないと思いますが、10日くらいは交渉で、また、給与と有休のどっちを優先するかなどの自由度はあるようです。

 

長くなりましたが少しでもなるほどと思えることがありましたらうれしいです。アメリカ会社員ネタは今後も時々書いていきます。